2/20/2011

2010年度CUC自主ゼミ

2010年度、自身の研究活動および学生に対する教育活動の一環として、CUC(千葉商科大学)で毎週火曜18:30から自主ゼミを開講してきた。研究テーマは「ビジネス・パーソンの学習内容・学習方法の研究」である。

ここ数年、従来大学がキャリア教育と銘打ってキャリア形成の方法として行ってきたインターンシップ導入や初年次教育に加え、講義に企業人を呼んで現場の話をしてもらう機会を提供する増加している。

現場の実情やその姿勢を語る企業人の多くはある一定の地位・肩書を有している、いわゆる役職者である。学生たちは役職者たちの講演に向かい、その言葉に耳を傾ける。

こうした役職者たちの経験を踏まえた言葉は確かに重要である。

だが、果たしてその言葉は本当に学生たちに響いているのだろうか。果たして学生たちはその役職者たちの言葉から何か読み取れているのだろうか。こうしたキャリア教育科目は「就職するための心構え」を伝える科目でしかない。

確かに役職者は採用する側の立場の気持ちがわかっている。しかしながら、その反面「役職」というフィルターがかかり、自己満足的な話や思い出話になることも多く、学生たちにはその現実が「リアル」なものとして伝わりにくい。では現実を「リアル」なものとして受け取りやすくするためにはどうしたらよいのか。

これらの疑問が私がこの研究テーマを設定した理由である。

自主ゼミ初日のガイダンスには数名の学生が説明を聞きに来た。学生たちは業界研究だと思って足を運んでくれたらしい。業界研究はその業界全体を見渡して「どういう業界なのか」を知ることを目的とし、それは組織という箱に焦点を当てたアプローチを取っている。

だがこの自主ゼミはそうではない。私の専門分野の柱のひとつは「学習支援」である。そこには必ず学習する学習者が存在し、研究も学習者視点によるアプローチが必要となる。そこでこの研究も、組織ではなくあくまでそこで働く個人(=ビジネス・パーソン)に焦点を当てたアプローチ方法を取ることにしていた。

学生たちはどうやら業界研究をしたかったらしく、結局翌週の第2回目には3名のみとなった。

人気取りをするつもりはなかったので「従来の業界研究をしたいなら別の所でやってくれ」と思いながら、残った3名と話を進めた。

とはいえ、ここでも「学習」というキーワードが光る。

実際の自主ゼミはある程度の方向性のみを示し、詳細な内容や方法はゼミ生たちに意見を取り入れながら進めることにした。これも自主ゼミの狙いのひとつだった。

春学期は既存の「業界を知る方法」やその区別の仕方を調査、秋学期はそのベースを基に実際にビジネス・パーソンに対してヒアリング調査を実施することにした。ヒアリング調査の対象は「学部卒業後10年以内の若手社員」。その設定理由は身近な「リアル」を知る必要があったからである。

時間的制約、空間的制約もあることから、大学のキャリア支援センター職員に協力を仰ぎ、全部で7社の若手社員にヒアリング調査およびアンケート調査をすることができた。

現在、最後の仕上げとして「ビジネス・パーソンは、在学時およびその業界に入社後、どのような内容を学習したのか、またどのような学習方法で行ったのか」を簡単な絵とワンコメントでまとめた冊子を作成している。

小学生の遠足パンフレットのようなものをイメージしているが、さて、最終的にどのようなものができるのか楽しみである。

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