高等学校は普通高校、専門高校、総合高校の3つに分類されるが、主として「商業」については専門高校のひとつである商業高校が担当している。
しかしながら、サービス業といわれる第三次産業のみならず、第一次産業であれ、第二次産業であれ、そこには必ず「商業」が関わっている。
これが何を意味するのか。
それは、将来的にビジネスパーソンとなる者(高校生)すべてが「商業」の基礎について理解をしておく必要があるということである。また違う視点からみれば、ビジネスパーソンとなる者すべてが「商業」の基礎教育を受ける権利を有するということである。
普通高校の学校設置科目および総合高校の一部でも「商業」については実施されているが、普通高校および総合高校に在籍するほとんどの生徒は、「商業」に触れずに就職することになる。
近年では、社会に出るための教育も「キャリア教育」と呼ぶことが一般的になりつつあるが、この「キャリア教育」は、旧来使用していた「就職指導」を名称変更したに過ぎない狭義の「キャリア教育」であることが多い。
「就職指導」は、「どういった将来像を描いているか」、「それに対してどのような計画を立て、準備をしていくか」ということについても触れるが、主として「いかに入り口に辿り着くか(職に就くか)」という対策が主となっていた。要するに「就職指導」は「入口対策」に過ぎないということである。
「入口対策」に過ぎない「キャリア教育」であるならば、それは本来ビジネスパーソンとして必要な「入口を入ってからの教育」である「商業教育」は含んでいないということになる。
しかしながら、キャリア教育は教員全員が担当しており、教員全員が「商業」の基礎教育を指導できるかといえば、実際それは難しい。
高校生がビジネスパーソンとなるための権利を行使するためには、狭義の「キャリア教育」から広義の「キャリア教育」にシフとチェンジしなければならない。そのためには、高校教育全体で「商業」の基礎教育(ビジネス基礎教育)導入を推進し、取り組むことが必要である。