4/28/2008

商業教育の意義(2)

教育基本法と商業教育の位置づけ
 教育基本法第1条は教育の目標として、「教育は、人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」としている。 人格の完成とは、「個人の価値と尊厳との認識に基づき、人間の備えるあらゆる能力を、できるかぎり、しかも調和的に発達せしむること」(1947年文部省訓令第四号)とされており、単に個人のための自己形成に止まらず、同時に平和的な国家および社会の形成者として行なわれることが要請されている。
 商業教育は、商業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を通して、確かな勤労観や職業観の育成を図るとともに、対人的コミュニケーション能力の育成を図る中で、真理と正義を愛し、個人の価値を尊ぶ教育を実践している。また、商業教育は、生徒の持つ能力を「商業」という教科学習を通じて、さらに専門的に伸長させ、単に個人のためではなく、社会の一員として日本の経済社会の発展に寄与することを目指して行われている。
 教育基本法第2条では、この目的を達成するため、「学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない」としている。
 商業教育では、各科目指導にあたり、可能な限り実際の生活に即して密着、関連づけている。さらに、「総合実践」、「課題研究」、インターンシップなど、実際の生活や経済活動に密接な実際的で、かつ体験的な学習を取り入れながら授業運営に取り組んでいる。これらの教育活動を通じて、商業教育は勤労と責任の重要さを体得させることは当然のことながら、自主的精神を養い、ビジネス活動を主体的、合理的に行い、経済社会に寄与する能力を育てることを目標としている。
 このことは、商業教育が、日本の教育の根幹とする教育基本法の趣旨と期を一するものであり、高等学校教育課程において重要な教科であるといえる。

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