問題の視点
戦後、画一的教育と言われた公教育も、近年では"独自性"や"特性"という言葉に代表されるように、教育制度が柔軟となり、各学校ごとに任される部分が多くなってきた。特に高等学校においては、卒業後、「進学」、「就職」のどちらの道に進まようとする学校なのかによって、大きくカリキュラムや指導体制が異なっている。進学を中心に考える普通高校では、主要五科目(国社数理英)を集中的に学習するカリキュラムを組んでいる。一方、就職し、社会に出てすぐ即戦力となるための前提知識・技術を習得させることを目的としている専門高校(旧:職業高校)においては、商業・工業・農業・家政など、専門分化したカリキュラムを組んでいる。いずれの種類の高等学校にせよ、文部科学省が「キャリア教育」を打ち立てている今日においては、この「キャリア教育」を軸に、「いかにしたら、社会に適応できる生徒が育成できるか」に力が注がれている。
「キャリア教育」という文言が、文部科学省答申として初めて登場したのは、中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(1999年12月)である。この答申では、学校種間における接続だけではなく、「学校教育と職業生活との接続」の改善も視野に入れたものであり、具体的には「小学校段階から発達段階に応じてキャリア教育を実施する必要がある」と提言している。
0 件のコメント:
コメントを投稿