文部科学省が、国公私立問わず複数大学で学部や大学院を設置できるよう、来年の通常国会に学校教育法改正案を提出する方針を固めたらしい。早ければ2009年から受付を開始し、2010年度から入学を認める方向で検討している。
文科省は「少子化時代到来」をキーワードに押し通すようである。確かに、地方の小規模な大学が厳しい経営状況にあるのは周知の事実である。このご時世、大学をはじめとした「学校」も切磋琢磨し、競争を強いられる戦国時代である。大学も手を変え、品を変え、うまくいくためには経営手法も変える。賛否両論あるだろうが、それも有りだろう。
ただ気になるのは、「経営」のことが先行して学校教育法を改正するのかという点である。確かに経営的な視点から見た場合、施設共有等が充実することにより、費用負担を軽減できるので、大学倒産を回避できる可能性は高くなる。しかしながら、大学は「次世代が未来社会を構成・構築できるような準備環境(学習・研究環境)を整備する」ことが大きな存在理由である。そう考えた場合、まず第一に次世代である学生の視点、「学習者視点」を第一におかなければならない。経営者としての大学理事、経営側の一端を担う大学教員の全員が「経営者視点」の前提に「学習者視点」を持たなければ、そんな大学は倒産・消滅してしかるべきである。
ちなみに、読売新聞の記事では、『現在の学校教育法では「大学には、大学院を置くことができる」などと定めているが、複数の大学が共同で設置することは認めていない。』とされているが、複数大学による共同設置については触れられていないのが現行学校教育法であるから、認めていないのは役人の理解なだけであって、法的に言えば、書かれていないことは条文化もされていないので『違法』ではない。ホリエモン問題の時もそうだったが、役人が勝手にそう思っているだけで書いていないことについて、やったからと言って『違法』にするのは大きな間違いだろう。
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